プロジェクト-1 事業再構築
2011年の地上波完全デジタル化と通信ブロードバンドの全国普及を見据えて2006年に設けられた「通信・放送の在り方に関する懇談会」では放送と通信の融合について様々な角度から討議された。
通信ブロードバンドもe-JAPAN構想を受け2010年には全国に高速のインフラ網が普及した。
これらの動きの下、ケーブルテレビ業界も放送と通信の2本の収益の柱に移行していった。
CCJグループは、業界の先陣をきってインターネット接続に取り組んだCTYを中心に、「放送と通信」という収益の2本柱の構築に成功した経験を活かし、グループ各社を支援した。
当時、放送再送信契約が中心で通信契約獲得が伸び悩んでいた長岡のNCTには、ケーブルテレビ局経営経験のある人材及び営業体制構築経験のある人材を派遣するとともに、外注営業の仕組みを導入した。
さらに、通信速度の増強、STBによる多チャンネルサービス、ケーブルプラス電話といった新たなサービスを導入し、商品ラインナップを充実させた。
このような支援によって、NCTは、放送の再送信契約中心の収益構造から脱却し、新たに通信ニーズの掘り起こしやブロードバンドの進展による通信への顧客シフトに対応できるようになった。
また、商品ラインナップの充実に
よって、放送・通信・電話のトリプル契約を伸ばしただけでなく、多様な商品を扱う経験を通じて営業社員の人材育成にも成功している。
鈴鹿のCNSは地域に大工場を有する上場企業の子会社として設立され、放送に加え通信サービスも開始し放送・通信の両輪で伸びてきた。
一方、NTTによるFTTHサービスの進展に加え、通信・電力の資本であるコミュファもFTTHサービスとTV再送信で参入したことから、顧客が次第に奪われていった。
これに対抗するにはFTTH化と宣伝・外注に営業費用を投入した営業活動が必要であったが、それを実施すると赤字化が見込まれ、大規模な投資に踏み切ることができず、顧客が減少し続けた。とくに通信のシェアは減り続け10%を割り込む目前まできていた。
2012年にCCJに連結子会社として加入した後は、失地回復として、大規模なFTTH化と営業コストをつかった営業活動を織り込んだ長期計画に取り組み、放送・通信・電話のトリプル契約とSTBによる多チャンネルサービスで放送・通信を2大柱とする収益構造への会社再建に成功した。
FMよっかいちは1999年放送開始したコミュニティFM局だったが、収支バランスが悪く事業継続が困難になった。
2011年CTYはこれを完全子会社化し、本社をCTY社屋内に移転、人材を投入し、地域コミュニティをとりあげる番組を増やすとともに、行政との災害対策連携にも取り組み、独自のスマホアプリを開発してリスナーの拡充をし、収支を均衡させた。2017年ケーブルテレビのコミュニティ放送製作・CM売上のシナジーを図るため、CTYと合併しCTY-FMの呼称でコミュニティ放送・地域防災放送を担っている。